健康寿命を1歳延長
長寿社会に向け医療戦略
健康寿命を1歳延長 政府が閣議決定
政府は22日、世界最先端の医療で健康長寿社会をつくり
経済成長を図る「健康医療戦略」を閣議決定した。
5月に成立した健康医療戦略推進法に基づき、
日常的な介護なしで暮らせる「健康寿命」を
2020年までに1歳以上延ばすなどの目標を掲げた。
安倍首相は閣議に先立って行われた
健康医療戦略推進本部の会合で
「健康長寿社会の実現はわが国の急務。
政府一体となって推し進める」と話した。
戦略では、
大学などの基礎研究から生まれた成果を、
新しい薬や機器として実用化に結びつける一方、
医療現場で明らかになった課題を基礎研究に生かす
「循環型研究開発」の考え方を提示。
文部科学、厚生労働、経済産業の各省に分かれた
関連予算の集約と分配を担う
「日本医療研究開発機構」を設置する。
薬や機器を患者らに使ってもらいながら
安全性を評価する臨床研究や、
新製品の発売を目指した臨床試験(治験)を活発化させる。
降圧剤ディオバンの研究不正を踏まえ、
統計や研究の補助ができる人材を育成、
不正対策の仕組みを検討する。
効率的な医療サービスの提供や研究利用に向け、
診断や投薬など医療に関連する情報の電子化を進め、
情報を利用する際のルールを整備する。
10年に男性で70・42歳、
女性で73・62歳の健康寿命を
20年までに1歳以上延長することを目指すほか、
メタボリック症候群の人数を
08年度比で20年までに25%減らす目標も設定した。
がんや感染症、再生医療などに重点を置き、
20年までに認知症やうつ病の根本治療薬の治験を始める。
※健康医療戦略推進法
世界最高水準の医療に向けた研究開発を促進し、
健康長寿社会を形成することを目的に、今年5月に成立した。
安倍政権が昨年6月に策定した成長戦略で
「健康・医療」が柱の一つとなり、
研究開発の司令塔の設置、
関連予算の一元管理などが必要とされた。
全閣僚で構成する推進本部をつくり、
研究開発の方向性を定めた戦略と、
再生医療やゲノム医療など重点プロジェクトを定めた
推進計画を作成するとしている。
共同通信社 2014年7月22日(火)